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何歳になっても、生徒に戻れる場所を持つ

目次

〜裏千家 北米巡回講習会・鈴木宗慶先生と過ごした3日間〜

先日、サンフランシスコで開催された、裏千家 北米巡回講習会・鈴木宗慶先生のワークショップに3日間参加させていただきました。

今回の3日間を終えて、今、心に残っている言葉があります。

「何歳になっても、生徒に戻れる場所を持つ。」

私は普段、カリフォルニアで歯科医師として仕事をしています。

それ以外にも、ワークショップやREAL SHIFTなどを通して人にお伝えする機会があり、音楽ではステージに立つこともあります。

年齢や経験を重ねるにつれて、少しずつ「教えていただく側」から「伝える側」に立つ機会が増えてきました。

だからこそ今回、3日間、一人の生徒として先生の言葉に耳を傾け、基本に戻り、学ぶ時間をいただけたことは、私にとってとても大切な経験になりました。

1日目——まずは基本に戻る

講習会初日は、割稽古から始まりました。

一つひとつの所作を改めて確認していきます。

茶道のお稽古を続けていると、同じ動作を何度も繰り返します。

一見すると、「もう知っていること」「何度もやったこと」のように感じるかもしれません。

でも、先生のお話を聞きながら改めて向き合ってみると、以前とは違うことに気づきます。

手の位置。

身体の向き。

道具の扱い。

動作と動作の間。

一つひとつには意味があり、その積み重ねで一つのお点前がつくられていきます。

そして初日は、私たち辻社中から初炭のお点前もさせていただきました。

私はその様子を見ながら、翌日に自分がお稽古をつけていただくこともあり、少し緊張しながら先生のお話を聞いていました。

人のお点前を見ることも、大切な学びです。

「自分だったらどうするだろう」

「ここは、こういう意味があるのか」

と考えながら見ていると、普段のお稽古では気づかなかったことが見えてきます。

教える立場になることが増えてきた今だからこそ、

人から教えていただく時間を、これからも大切にしたい。

初日から、そんなことを感じていました。

2日目——和巾点の亭主を務めて

そして2日目。

この日は、私自身にとって特に忘れられない一日になりました。

四カ伝の最後となる和巾点の亭主を務めさせていただきました。

先生を前にして実際にお点前をする。

やはり、普段のお稽古とは違う緊張感があります。

頭では分かっているつもりでも、実際にその場に座ると、

「次はどうだっただろう」

「この所作で合っているだろうか」

と、一つひとつをいつも以上に意識します。

けれど、それこそが今回いただいた貴重な機会だったのだと思います。

実際にお点前をしながら先生にご指導いただき、一つひとつの所作だけではなく、その意味や背景についてもお話を伺うことができました。

そして改めて感じたのが、

何度繰り返しても、基本に戻ることの大切さ。

ということでした。

学んでいると、私たちはつい「次」を求めます。

もっと新しいことを知りたい。

もっと難しいことができるようになりたい。

次の段階へ進みたい。

もちろん、それも成長には必要なことだと思います。

でも茶道では、同じことを何度も繰り返します。

そして不思議なことに、以前と同じことをしているはずなのに、経験を重ねた後にもう一度戻ってみると、見えるものが違うのです。

以前は何気なく聞いていた先生の一言が、今回は深く心に入ってくる。

以前は「そうするもの」と覚えていた所作について、その意味が少し分かる。

繰り返すからこそ、初めて見えてくるものがあります。

新しいことより、大切なことに戻る

これは、お茶だけではないのかもしれません。

私たちは日常でも、つい新しいものを求めます。

新しい知識。

新しい方法。

新しい目標。

新しい環境。

SNSを開けば、毎日のように新しい情報が流れてきます。

「これをやった方がいい」

「あれを始めた方がいい」

そんな情報に囲まれていると、今の自分には何かが足りないような気持ちになることもあります。

でも、本当に自分を変えていくものは、意外ともっとシンプルなことなのかもしれません。

毎朝少し立ち止まる。

ノートを開く。

自分の気持ちを書く。

人の話を丁寧に聞く。

一つのことを繰り返す。

そして、何度でも基本に戻る。

私が続けているREAL SHIFTの朝活でも、特別に難しいことをしているわけではありません。

ノートを開いて、

「私は、ほんとはどうしたい?」

と自分に問いかける。

とてもシンプルなことです。

でも、同じ問いを繰り返しても、答えは毎回同じではありません。

一週間前の自分と今日の自分では、見えているものも、感じていることも違うからです。

だから、何度でも戻る。

茶道のお稽古をしながら、そんな朝活との共通点も感じていました。

3日目——少しホッとした気持ちで

そして迎えた最終日。

前日に和巾点の亭主を務めさせていただいた余韻が、まだ自分の中に残っていました。

無事に終えられたことへの安堵。

先生から直接ご指導いただけたことへの感謝。

そして、「もっと学びたい」という気持ち。

いろいろな感情を抱えながら、最終日は少しホッとした気持ちで半日参加させていただきました。

自分のお点前を終えた後だからこそ、他の方のお点前や先生のお話にも、また違った気持ちで向き合うことができました。

この3日間を通して感じたのは、茶道には「急ぐ」という感覚がほとんどないことです。

一つの所作に向き合う。

相手を思う。

道具を大切に扱う。

今、この瞬間に集中する。

普段の私は、どちらかというと動いていることが多い人間です。

歯科医師として仕事をしながら、ワークショップを開催したり、音楽活動をしたり、いろいろな方とお会いしたり。

「次は何をする?」

「その次は?」

と、先の予定を考えていることも少なくありません。

そんな私にとって、お茶の時間はとても特別です。

次へ急ぐのではなく、

今、目の前にある一つのことに向き合う。

その時間が、私自身を静かな場所へ戻してくれるように感じます。

静かに向き合う時間と、未来を言葉にする時間

そして最終日は、もう一つ私にとって大切な時間がありました。

アメリカ西海岸で行っているREAL SHIFT朝活です。

茶道では、静かに一つの所作に向き合う。

朝活では、ノートを開いて自分の内側にあるものを言葉にしていく。

一見すると、まったく違う時間です。

でも私にとっては、どちらも

「自分に戻る時間」

なのだと思います。

毎日仕事をして、いろいろな人と会い、予定をこなし、新しいことに挑戦していると、知らないうちに「次にやること」ばかりを考えてしまいます。

もちろん、未来へ向かって行動することは大切です。

私は行動することが好きですし、これからも新しいことに挑戦していきたいと思っています。

でも、ずっと前だけを見て走り続けていたら、自分が今どこにいるのか分からなくなることがあります。

だから、ときどき立ち止まる。

今に集中する。

自分の声を聞く。

そしてまた歩き出す。

茶道も朝活も、私にとってそのための大切な時間になっています。

「できるようになる」だけが学びではない

今回の講習会を通して、もう一つ感じたことがあります。

学ぶ目的は、単に「できるようになること」だけではないということです。

もちろん、お点前を正しくできるようになることは大切です。

でも、それ以上に、

どんな姿勢で学ぶのか。

どんな気持ちで相手と向き合うのか。

教えていただけることに、どれだけ感謝できるのか。

そうしたことも含めて「学び」なのだと思いました。

歯科医師として長く仕事をしていても、医学や歯科医療は常に進歩していきます。

だから、学ぶことに終わりはありません。

人に何かをお伝えする立場になっても、自分自身が学び続けなければ、伝えられるものも少なくなっていくと思います。

音楽も同じです。

何度ステージに立っても、もっと表現できることがあります。

もっと届けられる歌があります。

そして茶道も同じ。

一つ学べば、その先にまた新しい学びが見えてくる。

そう考えると、

「まだ知らないことがある」ということは、とても幸せなことなのかもしれません。

まだ成長できる。

まだ新しい景色を見ることができる。

まだ知らない自分に出会うことができる。

そう思えるからです。

何歳になっても、生徒に戻れる場所を

今回の3日間を終えて、一番大切にしたいと思ったこと。

それは、

何歳になっても、生徒に戻れる場所を持つこと。

でした。

経験を積むことも大切。

人に伝えることも大切。

誰かを応援することも大切。

でも、ときには自分が一番前に座って、

「教えてください」

と言える人でいたい。

できないことを恥ずかしがらず、

知らないことを知らないと言い、

何度でも基本に戻れる人でいたい。

人生もきっと同じなのだと思います。

一度決めた道をずっと進まなければならないわけではない。

立ち止まってもいい。

戻ってもいい。

学び直してもいい。

そして、また新しい一歩を踏み出せばいい。

この3日間でいただいた学びを、茶道のお稽古だけで終わらせず、これからの仕事や活動、そして自分自身の生き方にもつなげていきたいと思います。

ご指導くださった鈴木宗慶先生。

この貴重な機会をつくり、支えてくださった皆さま。

そして一緒に学ばせていただいた皆さま。

心よりありがとうございました。

また日常に戻れば、仕事があり、予定があり、次の挑戦があります。

だからこそ、ときどき静かに立ち止まり、

一つのことに丁寧に向き合う。

そして、

「今の私は、ほんとはどうしたい?」

と自分に問いかける。

そんな時間を、これからも大切にしていきたいと思います。

何歳になっても学べる。

何歳になっても変われる。

そして何歳になっても、新しい自分に出会える。

今回の3日間は、そのことを改めて感じさせていただいた、とても大切な時間になりました。

ありがとうございました🍵

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この記事を書いた人

\願望実現をすべての人に/
米国在住11年(ボストン、NY、現在カルフォルニア)
歯学博士・高齢者歯科専門医・補綴科指導医
歌手・ボーカル講師
『願望実現プログラム -The Artist’s Journey-』主宰